MORI MAGAZIN

森マガジン!

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2022

2022年 秋号

M O R I   M A G A Z I N

Vol.10
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SORAの空も秋色になりました。例年の如く猛暑が続いていたので、しばらくは半袖で過ごせるかと思いきや、なんと秋が駆け足でやって来て日に日に深まっています。

気の早いショッピング街ではクリスマスケーキの予約も始まったりして、、。そんな季節、今年最後のSORAは、この秋に96歳の生涯を閉じられたエリザベス女王を君主とした「英国・イギリス」をテーマにしました。 知っているようでよく知らない国、同じ島国で、王制、天皇制、静かに受け継がれる伝統継承もあり、この両国の似ている、似ていない、どんな国… きっとSORA読者の皆さんの中にもイギリス大好き、行ったことがある、という方もいらっしゃると思います。 さぁ、イギリスと日本、比べてみたら色々な横顔が見えてきました。

今号はイギリスに暮らし、その魅力もまた時には厳しさも体験された方と、イギリスから日本に移住され、どちらの国の良いとこもダメなとこも眺めてきた3人の方に色々お話をうかがいました。

SORA
そら

ミノ

サエ

TOPICS

Interview
インタビュー!
~素敵なイギリスの田舎町に住んでいた島先克臣さんに聞く~
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EUと英国の旗

SORA:アリシアの森でイギリスといえば島先さん!ということで今日はよろしくお願いいたします。

島先:どうも!よろしくお願いします。

SORA:先ず同じ島国といえども、英国はイングランドにスコットランド、ウェールズやアイルラ ンドと、個性が違う4つの地域に分かれていますよね。イギリスではどの辺りの何という街に暮らされていたんですか。

島先:コッツウォルズという丘陵地帯にあるストラウドという小さな街です。その中のピッチコム村の小さな家に住んでいました。周りは羊と牛の牧場でした。

SORA:コッツウォルズだったんですね!確かロンドンから列車で一時間半くらいの所ですよね、 数年前友人が観光で行って絵に描いたような田園風景に感激してました!ではロンドンとはずいぶん雰囲気が違うと思いますが、日本でもよく知られる首都ロンドンとはどんな感じなんでしょうか。

島先:とにかくロンドンはヨーロッパ最大の都市で、人口も1200万人以上!しかも人種のるつぼです。ところがコッツウォルズは田舎で白人で占められていて、有色人種は多くはいませんでしたね。

SORA:なるほど… では島先さんファミリーも少数派だったわけですね。 当時も教会に通われていたと思うんですが、どんな教会でしたか。

島先:少し離れたサイレンセスター市にあるバプテスト教会に通っていました。 ミドルミスさんという方が牧師でしたが、彼は中流の地域から来る信徒に向かって、生活の方向転換を迫る厳しい説教を語っていましたよ。でもみんなから愛されていました。

SORA:厳しいけど愛のある牧師さんだったんですね。何かミドルミス牧師のエピソードで思い出されることがあれば教えてください。

島先:ちょうど90年代の終わりの頃でしたから、コンピューター2000年問題に備えて地域住民のために備蓄を始めていました。また、市内の元空軍基地から飛び立つB52によるユーゴ空爆を批判していました。でも祝祷が終わると先生はピアノに直行し、後奏の代わりに信徒のミュージシャンと軽快なジャズのセッションを楽しんでいたのは、印象的でした。 ミドルミス牧師との出会いを今でも感謝しています。

SORA:なんだか正義感の強い、でもちょっぴりチャーミングな先生のムードが伝わってきます。 日本の教会では、礼拝終わりにジャズを弾かれる牧師さんはほとんどいないのでは?!(笑)

さて、島先さんが通われていたのはバプテストだったということですが、多くの英国人は英国国教会に所属していると思っていたのですが、実際はどうなのでしょう。もちろん昨今の、特に若者層の教会離れ、宗教離れも課題であると思いますが。


島先:2018年の調査では、国教会が13.7%、その他のクリスチャンが22%、無宗教が52%となっています。もっと世俗化が進んだヨーロッパの国もあり、イギリスはこれでもクリスチャン人口が多い方かもしれません。ヨーロッパではクリスチャンは少数派となっています。

 

SORA:へぇ~!ちょっと驚きというより、キリスト教文化圏の本家本元だと思っていたヨーロッパですが、実際はクリスチャンは少数派だとは、なんとも寂しい現実ですね。

では少し明るい話題を~イギリスの美味しかったものはなんですか。一般的ですが、紅茶とか フィッシュ&チップスは有名ですよね。

島先:妻はこの5月、長男のところに生まれた初孫を抱きに行きました。そのとき、同じくイギリスで看護師をしている長女にアフタヌーンティーをご馳走してもらって大喜びでした。 私はフィッシュ&チップスとコーニッシュ・パイが好きでした。 イギリスに来て間もなく、大学の担当教官のお宅にお邪魔した時、教授の奥様が入れてくださったのがリーフティでなく、ティーバッグだったこと、そして、「最近はコーヒーを好むイギリス人が多い」と言われたことに驚きました。日本に伝わるイギリスのイメージは、一般の庶民の現実とは違うかもしれませんね。

SORA:そのコーニッシュ・パイというのを食べてみたいです! 同じ島国ですが、違いもいろいろあると思います。帰国されてから感じられたこと、これは日本が良い、またイギリスの方が良かった、などあれば教えてください。

 

島先:イギリスにはNHSという国民皆保険制度があります。借金頼みの日本と違って、できるだけ国費を投入しないように努力しているようで、治療は本当に必要なだけのシンプルなものです。 混雑している病院が多く、緊急性が低いと手術が何ヶ月も先になるなどの問題も抱えています。しかし医療費はほぼタダに近いので、庶民の生活を支えている制度です。また日本国内の会社や自治体で行われている定期健康診断やがん検診のようなものもありません。50歳以上の女性のマンモグラフィーぐらいだそうです。イギリスの友人も言いましたが、日本で声高に叫ばれる「早期発見」が必要とはイギリス人は考えていないのです。学校教育は優れていると思います。娘が中学に入って間も無く、マグドナルドと環境の関係を自分でリサーチして発表するように言われて、肉牛のためにアマゾンの森林が伐採されていることや、 ハンバーガーのプラスチックの入れ物の害などを調べて、プレゼンしました。批判的に社会を見て、リサーチして、言語化して伝達する訓練がなされていました。またディベートも励まされていました。そのような教育は今でも変わらないどころか、ますます先進的になっているようです。国を作るのは教育ですので、日本はこの点ではイギリスに学んで欲しいと願っています。

 

SORA:なるほど、医療制度や教育方針の違いは興味深いものがありますね。何事も先回りして出来るだけ大事にならないように手を尽くす、と言うのか少々お節介な感もある予防検診ですが、 早期発見に越したことはないと思っている国民も多いように思います。でも症状が出る前から不 安や心配を煽るのはいただけませんよね。 学校教育は、かなり違うのかも~。お話を伺って、やはり「個」の精神の違いを感じてしまいました。大人の社会もそうですが、みんなと違うことは言い辛い、そんな学級の中で育てられるので、批判的な視野で社会を見たりリサーチするのは苦手な人が多いのでは…また「言わなくても わかるよね、」の空気を読む環境では言語化されて伝達することも少ないのではと、今更ながら気づいた次第です。 

さて今年はエリザベス女王が亡くなられ、その国葬は世界各国に中継されましたがご覧になられましたか。天皇制と王制、よく比べられたりしますがその違いはあまり学校では習いませんでし た。イギリス王室の様々な近況は、時にゴシップの色合いも含んで日本のメディアでも頻繁に取り上げられています。女王はイギリス国民にとってどんな存在だったと思われますか。また過日のウエストミンスターでの国葬をどのように思われましたか。

 

島先:エリザベス女王はその人柄ゆえに、多くの国民に愛されてきたようです。ただ王制と貴族制のためにイギリス社会の中には、階級意識が深く染み込んでいますし、貧富の差も大きく、さまざまな問題もあるようです。王室の資産の公開を拒んだのは女王でした。また過酷な支配を受けた植民地から来た人々にとっては、王制はその支配の象徴でもあるので、国葬に疑問を持つ人々もいたようです。今の英国も広大な植民地支配という過去と切り離せないわけで、さまざまな問題を抱えています。

 

SORA:これからイギリス観光、留学を考えている人たちに何かアドバイスやお勧めがありましたらお願いします。

 

島先:中国語やスペイン語の必要性が高まっていますが、それでも英語はまだまだ世界共通語で大切なツールだなと感じます。ただあくまでもツールなので、自分の専門は別に磨いていってほしいと思います。 観光という面では、石造りの街や歴史も良いですし、田舎の風景も良いですよ。田舎の村でヴァケーション・コッテッジを借りて、一週間ほどゆっくりしながら、周りの村やコモン、そしてトレイルを歩くといった旅もいいかもしれません。今ちょうど読んでいる本があります。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮文庫)という文庫本で、読み出したら止まらないほど面白く、今のイギリスの階級社会の内側を知 ることができます。またアイデンティティや、互いの違いを受け入れるという面で、日本人としてイギリスから学ぶべき点が多く描かれていて、考えさせられます。イギリス好きの方には是非お勧めしたい一冊です。

 

SORA:最後にイギリスのクリスマスの思い出を教えてください。

 

島先:イギリスのクリスマスと聞いて思い出すのは、教会員のご家族のクリスマス・ディナーに呼ばれたことです。明るく、賑やかなご家族と一緒に、楽しくクリスマスを祝えたのは、幸いな想い出です。頭に紙の王冠をかぶってディナーをいただくのは、アメリカでは見なかった習慣でした。 また、イギリスはクリスチャン人口が減り、無神論や他の宗教の人々が増えたため、それまで公の期間が主宰してきた「市民クリスマス」といった名称が、「年末祭」のような非宗教的なものに変化していたのは印象的でした。 また住んでいたのが田舎だったからかもしれませんが、フィリピンのようなお祭り的な華やかさや、アメリカのような商業的な華やかさはなく、地味な印象を受けたのもよく覚えています。

 

SORA:わぁ~!紙の王冠は初めて知りました! コッツウォルズのクリスマス、楽しくアットホームな中にも、静かな、本来の聖夜のイメージもあるのでしょうか。島先さんご夫妻は今年のクリスマスも紙の王冠でお祝いされますか~^-^//どうぞ素敵なクリスマスをお迎えくださいね。イギリスのこと、色々教えてくださりありがとうございました。

島先克臣プロフィール
〈聖書を読む会総主事〉 立教大学文学部、聖書神学舎、米国ゴードン・コンウェル神学校旧約学修士課程、英国グロース ターシャー大学旧約学(ヘブライ語言語学)博士課程終了。 国内で牧師、フィリピンへの宣教師、同国アジア神学校(ATS)准教授、日本聖書協会・聖書協会共同訳コーディネーターを経て、現在、聖書を読む会の総主事を務めている。 著書、訳書に『Focus Structure of Biblical Hebrew』(CDL Press)、ティンデール注解シリー ズ『雅歌』(いのちのことば社)、『わが故郷、天にあらず』(いのちのことば社)。 アリシアの森では「クリスチャンとアート」をテーマに、初回のテーマトークお茶会のトークをリードされ、キリスト者に託されている” アート “ というフィールドの奥行きの広さ、深さを示唆してくださった。

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インタビュー!
~舞台美術家のNanakoさんに聞くロンドンあれこれ…~

SORA:今日はイギリスについて色々お話を伺いたいと思っています、どうぞよろしくお願いいたします。 

Nanako:どうもお久しぶりです。こちらこそよろしくお願いいたします。

SORA:私がロンドンにフラッと遊びに行ってNanakoさんにお世話になったのは、もうかれこれ20年以上前になるでしょうか。あれから、ロンドンも日本も随分変わりましたよね。でも 同じ島国ということで似ているところもあるように思うのですが、長く住まわれてみていかがでしょう。

Nanako:そうですね、う~ん、イギリス人と日本人ですよね、愛情表現は上手じゃなくても相手を思いやる気質は似ているかもしれませんね。まぁ日本人よりイギリス人の方が、ハグやキスの挨拶をするので、全く同じではないですが…

SORA:確かに!ちょっと間接的な表現をされたりするところが、同じ英語圏でもアメリカ人とは 違うなと感じたことがあります。ちょっとだけ奥床しいと言いますか、似ているところなんでしょうかね。イギリスの王室と日本の皇室というのも、違いは多くあると思いますが天皇や女王を仰ぐという気質はどちらの国も大切にしているようですね。今年はエリザベス女王が亡くなりまし たがご葬儀はご覧になりましたか。

Nanako:女王の国葬はクリスチャンの方々だったら感慨深いものがあったかもしれませんね。ウ エストミンスター寺院で行われたとても厳かなお葬式でしたよね。私もあのパイプオルガンの音色と少年聖歌隊の美しい讃美歌に、心を動かされました。聞くところによると、女王が生前すべてどの讃美歌にするかお決めになっていたとのことです。

女王は本当に聡明な方だったと思います。それに比べるとご子息たちにはそれぞれ、婚姻関係や 私生活で厄介な問題も多くあり、それがゴシップとして表面化され世界のマスコミを賑わせてし まいました。とにかく今は亡きエリザベス女王と彼女に寄り添うフィリップ殿下(お若い頃はこ のお二人も色々あったようですが)のお二人が、今日までのイギリス王室の手綱を引き締め整えてきたように思いますが、さぁ、これからはどうなるのでしょうか…。


SORA:本当ですね、最近でもヘンリー王子とメーガン妃の話題が世界のメディアで取り上げられていますが、まぁそれだけ日本の皇室より身近な存在なのでしょうか。 チャールズさんは既にチャールズ3世として新しい国王になられましたね。

Nanako:数年前のことだと思いますが、女王は、男であろうと女であろうと、第一子を後継にすると英連邦のオーストラリアなどを回って報告されていました。今、国民に愛され親しまれた女王が亡くなり王室はチャールズ国王に委ねられるわけですが、これから時代は大きく変わるであろうと思う人がイギリスでは少なくないと思います。 日本の皇室と比べると、非常に人間臭いというか、先進的というイメージを持っています。

日本の皇室はやはり祭祀を司っておられるからなのか、男系父系の伝統も大切にされていますよね。まぁこの男女共存の時代、少々時代を逆行している感もありますがいかがでしょうか(笑)
とにかく女王を戴いていた国ですから、イギリスでは女性の権利や人権というものも大切に考えられているんじゃないかと思います。


SORA:なるほど、新国王には期待も不安も?という感じなんでしょうか。日本も女性天皇という提案があるようですが、これを決定するのは難しいだろうと察しています。
さてこの辺りでちょっと美味しい話し、ロンドングルメについてもうかがいたいのですが。


Nanako:イギリス料理はいつも不味いなんて言われますが~そんなことないんですよ!基本は暖炉の国なのでオーブン料理は美味しいです。パイとかじゃがいもをオーブンで焼いて、ベイクしたお芋にツナコーン、マヨチーズのトッピング、お豆のベイクドビーン乗せもありです。このベイクドポテトはオフィスの人たちにはサンドイッチに次いでランチの定番、みんな並んで買います。 あと下町の朝ご飯て感じのブレックファースト、薄いトーストにベーコンエッグや缶詰開けて温めただけのベイクドビーンズ、ティーバッグの紅茶なんていうのが懐かしい味ですね。

SORA:そうそう、最初、紅茶の国なのにティーバッグ!驚きましたが~^-^;そのほかNanakoさんの オススメはありますか。

 

Nanako:やっぱりPUBランチですかね。昔は愛煙家たちで賑わっていたPUBも今や禁煙でとっても過ごしやすい場所です。それと時々すご~く食べたくなるのがFish&chips、ただこれにブラウンビネガーをかけるのだけは頂けませんが… あと薄いトーストにバターとマーマレードの定番とか、色々お話ししていると本当に食べたくなります!それにとってもスタイリッシュで美味しい のがモダンブリティッシュ料理の世界です。ワインと合わせて楽しめます。「テートモダン」で美術鑑賞したあとミュージアムのテラスレストランや、ナイツブリッジの「ハービーニコルズ」の上階などはお勧めです。 あとイギリスの食で忘れられないのがマーメイトという茶色のペーストです。これビールの酒粕が主原料でイギリスの納豆みたいな感じ?つまり匂いもありで、私は苦手でしたが友人たちはこれをトーストしたパンに塗って食べてました。
 

SORA:マーメイトは輸入食料品店で見かけました!色的には美味しそうですが匂いは要注意です か~(笑)
さて、Nanakoさんのご専門でもある舞台美術や演劇、またアートについてもうかがい たいのですが、とにかくシェークスピアの国だからでしょうか、素晴らしい劇場や斬新な演出の お芝居が始終開催されていますよね。


Nanako:そうですね、やはりイギリスは演劇的でセンスが豊かな国だと感じます。あのエリザベス女王でさえも、テディベアを相手に気の利いたお芝居をサラッと!あの女王即位70周年記念コンサートのオープニング映像、洒落た演出でイギリスの粋を感じました。演劇界も奥が深いです。 また若く才能のあるアーティストにも開かれている国だと思います。アートは作品になってそれが 世に出て高く評価されないと見えづらいものですが、見えないものに投資するというか、原石のアーティストにも可能性を与えてくれる、私自身もアーティストビザを取得しましたが、アートの担い手への懐の大きさや視野の広さは、イギリス人以外にも開かれていますね。

SORA:なるほど。確かにロンドンには外国人や移民の方達がたくさん住んでいて東京における「外 国人」という枠ではないですね。

Nanako:移民政策なども日本とはかけ離れていますよね。まぁあの大英帝国、旧植民地から辿れば多人種、多文化、多様化の背景がありますからね、特に都市部のロンドンは異文化交流に慣れていると言えるんじゃないでしょうか。だから私のような入国者も比較的無理なく国に馴染んでいけたのではないかな。ただもちろん今日でも難民問題は課題が山積で簡単には解決できないと思われます。

SORA:欧州では今年に入りウクライナからの難民などの受け入れで大変ですよね。コロナ禍とはいえ、まだまだボンヤリした平和の中にある日本とは状況が違うと思いますが、何かロンドンで感じたことはありますか。

Nanako:そういえばこんなことがありました。8月15日は日本では終戦の日ですがイギリスで はVJDAY(Victory over Japan Day)で日本に勝った日であり、お祭り的な日なんです。渡英、間もない頃、まだその日がどんな日か知らなかったのですが、、、。終戦と勝戦、どちらが勝った、 負けたよりもその歴史にきちんと向き合ってこなかったことを知らされました。VJDAYの1日は 苦い記憶と共に戦争の愚かさを教えてくれた日でもあります。

SORA:そんなおめでたくないお祭りがあったなんて知りませんでした~。 最後にクリスマスの思い出をお願いします。

Nanako:とにかくその季節、街のイルミネーションの輝きがとても綺麗なんです。リージェント通りが有名ですが、私が一時期、間借りしていたカーナビー通りも素敵でした。あとはポートベローマーケットなんかでは、もみの木を売っていたりで風情たっぷりです。やはり25日クリスマスは 家族の日、日本のお正月みたいなんですね。家族が集まりおいしい食事やゲームで楽しみます。そう、 少しスパイシーなミンスパイというクリスマスのお菓子とか。あとクリスマスクラッカー、あの紐を引っ張るとパ~ンと弾けるヤツ、その中に紙の王冠や小物なんかが入っていてね、いい歳した大人が王冠被ってクイズ出し合ったりするんですよ。最初のうちは、こんな子供じみたこと?って思ったけど慣れてきたらしっかり盛り上がってました(笑)。

実は留学した当時は、友人たちは故郷に帰省しちゃうし、孤独なクリスマスも体験しました。 それに1985年頃はクリスマスの25日と確か26日も商店や交通機関も全て止まってしまう! 何もできないという恐怖の期間(笑)だったので、数日前から買いだめして寒い部屋で独り巣篭もりしたりして…そんな日々も懐かしく思えるほど、それから数十年後は予約したタクシー(クリスマスは倍料金)で友人と一緒にクリスマスランチを楽しんでいる自分がいました。これも若い頃凹んだご褒美だったのかなぁ、なんて思っています。


SORA:わぁ~、きっと神様からのご褒美ですね。コロナ禍が終わったらクリスマス時期のリージェント通りを歩いてみたいなと思いました。今日はたくさんのイギリスのお話し、ありがとうございました。

 

Nanakoプロフィール
〈舞台美術家,日本演劇学会会員〉 玉川大学文学部芸術学科、ロンドン.モッテーリ.シアターデザインコース(舞台美術)を経てロイヤル. カレッジ. オブ.アートにて造形制作研究。カレッジ内ホックニーギャラリーにて個展を開催、ロンドンと東京を中心にアートエキシビジョン、舞台美術科として幅広く活躍。 文化庁芸術家特別研修員、英国の劇団「タラ・アーツ」にインターナショナル. アソシエイト. アー ティストとして参加。指導者、研究者としては愛知県立芸術大学大学院、玉川大学芸術学部を経て、 現在京都女子大学大学院(発達教育学研究科表現文化専攻)講師、昭和女子大学現代教育研究所 研究員を務めている。兄は作. 編曲家の久米大作(アリシアの森アーティスト名鑑)

インタビュー!
~ロンドンから東京へ移住した
   マークさんに聞く両国のこと~

SORA:マークさん、今日はイギリスのこと、また日本のこと、いろいろ伺います、よろしくお願いいたします。
先ず日本とイギリス、同じ島国ですが似ているところはありますか。


マーク:イギリスも日本も、両方大陸の近くにある列島の国で、両国には「島国根性」があると思います。またイギリス人と日本人は遠慮気味で慎重であり、直接言わない傾向があります。 他の国の人からは、冷たいとか、二心に見えると思います。

SORA:なるほど、やはり似ているんですね。 先日のエリザベス女王の国葬はご覧になりましたか。たくさんの市民からも献花やお祈りが寄せられていましたが、マークさんにとって女王、また王室はどんな存在ですか。

マーク:エリザベス女王の治世の間に王室に対する考え方が変わってきて、王室も変わってきました。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の間の争い事では、そのどちらにもマスコミの影がちらつき、 真実ではないことが拡散されるなどの情報操作もあったようです。その結果、王室の「dirty laundry」(汚れた服)が露出しました。ダイアナ妃の死亡後、王室の態度の冷たさに対して強い批判があり、その声はエリザベス女王まで届きました。その結果、王室に対する国民の黙認を維持するため、女王は王室の「現代化」に努めました。バッキンガム宮殿の一部の展示、ロンドン五輪の開会式に流されたジェイムスボンド映画への参加、パディントンとの映像などですね。しかし王室とハリーとメーガンとの内戦、アンドリュー王子の未成年者に対する性的虐待の疑問はまだ王室を汚しています。
僕は、多くのイギリス国民と同様に、エリザベス女王に対しては尊敬を感じてきましたが、次の世代になってから、現代の民主主義において、王室の役割やレジティマシーに対する疑問を持っています。


SORA:イギリス王室には今後も課題がたくさんあるということですね。
さて、イギリスでは英国国教会の信徒が多いと思われるのですが、近年は若者の教会離れ、宗教離れも進んでいると聞きます。マークさんはイギリスにいた頃から教会に通っていたんですか。


マーク:実は、僕はイギリスではなくパプアニューギニア生まれで5歳頃まで住んでいました。母はカトリックで、僕はカトリックの聖ヨセフインターナショナルスク―ルの小学校にいたので、カトリック教会に通っていました。イギリスに移ってからは家族は教会から離れましたが、僕は小学校の頃、友達と一緒にバプテスト教会に数回行き、12歳頃からは近くの英国国教会の教会に通って堅信をしました。大学生になると救世軍の友達ができ、ちょうどその大学が救世軍の創立者のウィリアムブーズが活動した東ロンドンにありましたので、救世軍の教会にも通いました。そ の後、大学院の時にまた実家の近くの英国国教会に戻ったのです。

SORA:そうでしたか、マークさんはパプアニューギニア生まれなんですね!堅信礼はバプテストをはじめプロテスタントの諸教派では行っていないところが多いのですが、12歳の頃に堅信されたんですね。日本は残念ながら無神論や無宗教の人が多いのですが、イギリスではどうですか。

 

マーク:イギリスでは日本と同様に、無宗教、無神論の人は増えたと思います。しかし近年ナショナリズム(民族主義)が強くなってきて、宗教と「ナショナル・アイデンティティ」の概念が混在してきたと思います。他宗教(特にイスラム教)の移民の増加に対して、特に保守党の政治家は「イギリスはキリスト教の国である」と強調しますが、「キリスト教」の「ナショナル・アイデンティ ティ」は宗教よりトラディション(伝統)の守りへのアピールだと思います。キリスト教に対して、 個人的な信仰と、「ナショナル・アイデンティティ」の二つの概念が混乱され、世論調査では教会に対する質問に対して、普段教会に通っていない白人が自らの宗教は「キリスト教」と答える、 そのような状況がありますね。 日本の場合は、無神論や無宗教の人が多いですが、その人の中で宗教的な結婚式、お葬式、法事などの伝統を守る者は少なくないでしょう。宗教は、個人的な信仰の面と、社会的な面(伝統、 祭式、儀式)の面があると思います。

 

SORA:日本(東京)に住まわれて、これは良いと思われるところ、またこれは日本よりイギリス の方が良いところがあれば教えてください。

マーク:日本の良いところは安全性、暮らしやすさ、清潔度、美味しさ、社会の安定性と著しい貧富の差が無いところです。イギリスの方が良いところは、多文化主義(特にロンドン)、ダイバーシティだと思います。

SORA:最後にイギリスの故郷のクリスマスの思い出を教えてください。

マーク:イギリスの冬は暗くて寒い、それに日が短く、午後4時はもう真っ暗です。おまけに曇り空や雨の日が多いので、クリスマス休みの間は、暗くて寒い外から明るくて暖かい家に入って、クリスマスツリーが飾ってある部屋で暖炉の前で体を温め、クリスマス時期の食べ物、ミンスパイやソーセージロールなどを食べて、ポートワインやシェリーを飲んで家族や友達とゆっくり過 ごす、そんなイメージがあります。 実家の暖炉のある部屋は暖かいので、クリスマス休みの間はその部屋でジグソーパズルやボードゲームなどをして過ごすのが好きです。クリスマスの日は朝の礼拝に行って、家族や親戚はお昼前に家に集まって来ます。みんながそろってからプレゼントを開いて、昼にローストターキー(七面鳥) かゴース(ガチョウ)を食べます。デザートはブランディ・バターをかけたクリスマス・プディングでかなりリッチです。でも実家に近いカントリーハウスなどの観光スポットはクリスマス休暇中は開いていませんし、とにかく日が短くて寒いので、家内と娘にはつまらないようなんです(苦 笑)。また母は食べ物などの準備で大忙し、これが僕の故郷のクリスマスの風景です。

マーク・ブラウン Mark Brownプロフィール
〈国立研究所.研究者〉パプア. ニューギニア生まれ。その後家族でイギリスに渡り英国籍となる。 現在は東京に在住、国立研究所で航空管制分野の研究をしている。 主日は都内のバプテスト教会に通い礼拝を守っている。

村長を困らせる?森のスタッフにも聞いてみたイギリスと聞いて何思う?

『バーバリー、タータンチェック、キルト、 そして~霧の中のロンドン~ …こんな感じです!』By Ahilu

『Hello! ~ 先ずビートルズ!次にケイト. ブッシュ!赤い2階建てバス、スコーン、 あと意外と好きなのが大英博物館でーす。』By ケイ

『アイリッシュミュージック?ラグビー?ん?イギリスって…
知っているようで知らない国です。音楽で言えば、アメリカのカントリーミュージックのルーツはアイリッシュミュージックだと思っていたわけですが、北アイルランドはイギリスですが、アイルランドは独立国です。なので、アイリッシュミュージックがルーツというのは間違いがないでしょうが、イギリスがルーツとは言えない感じです。それから、最近ラグビーの試合を観ることがあるんですが、国際試合にイギリス代表は存在しておらず、イングランド代表、以下スコットランド、ウェールズ、アイルランドとなっています。試合がたくさんあるのは楽しいのですが、これまたイギリスって?と思ってしまいます。だいたいイギリスって呼び名は日本独特のようですね~、
今回改めて調べてみるまでわかっていませんでした。と言うくらいイギリスのことはちゃんと知りません.』By 悩める村長^-^:

『姉との初めての海外旅行がロンドンでした! パディントン、兵隊さん、ダブルデッカー(2階建てバス)、バッキンガム宮殿etc.. なつかしい~!』By どんぐり

『ツェッペリン、ディープ・パープル、T・レックス、デビッド・ボウイ、クイーン、そして敬愛するエルトン・ジョン』by Harry

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【編集後記】

なんかこの秋は国葬が続きましたよね。実は秋号の当初のテーマは「お葬式」だったんです^-^; でもさすがにクリスマスを迎える季節にね~お葬式は無いだろうと方向変えましたー。 でも元首相と女王、お国が違い、信仰、宗教が違うと弔いのスタイルもこんなに違うものかと感じました。ただ、女王様のように立派な寺院のご葬儀であろうと、無名のウチの親父さんの葬儀であろうと中身は一緒、故人をみ国に送る祈りが捧げられ、生前を偲ぶエピソードが語られ、説教がなされ、故人の愛唱讃美歌が歌われ、皆が棺ではなく十字架の天を仰いでいる… クリスチャンで良かったなぁってしみじみ思いました。祈り説教をされる司祭さんが「女王陛下」でなくエリザベスさんを「姉妹」と呼んでいたのが(当たり前かもですが)印象的でした。イエス様こそ、 華々しい出産も葬儀もなくこの世界に来られましたが、そんなことを思い巡らしながらも、今年のクリスマスは紙の王冠を被ってお祝いしようかな~ どうぞ皆さんも良いクリスマスを!

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